運は天にあり

内省の記録

伝える

職場に若い子が来ている。素直で感じの良い子に見える。仕事ではまだまだ失敗もあるけれど、意識が高く勉強熱心だ。しばらくして、話をするようになった。それから、一緒にお昼を食べに行ったりして、話をする機会も多くなっていった。

 

自分より若い人と接する時は、自分の振る舞い方や言動を、特に注意している。年長者と対する時は、こちらがジャッジする。若い人からは、ジャッジされる側になる。自分の生きた年の重みを計られてると思ってる。

 

話していて、自分の知らないことも当然ある。そういうことは学ばせてもらう。けれど、やっぱり悪い意味での若さを感じることもある。収入を聞かれたときは閉口した。答えをはぐらかしつつ、一般論としての貧困問題の話をして、お金の話は不躾にするべきではないということを遠回しに伝えた。

 

前の会社の上司が、自分の収入を自慢するという世間知らずで器の小さい男だったので、これをダシに使った。なるべく説教くさくならないよう、こんなダメな社会人がいて呆れたという、個人的な昔話・愚痴話に話をすり替えていった。

 

おこがましいけれど、やっぱり自分が多く年数生きている分、伝えなきゃいけないことがあると感じる。その伝え方に、とくに気をつかう。

 

この子は、嫌味を感じない良い子ではある。が、意識の高さが行き過ぎて、そうでない他人に対して不満を隠せないような時がたまにある。放っておけば、傲慢になってしまいそうな危うさがある。

 

先輩ヅラはしたくない。偉そうな説教もしたくない。自分だったら、絶対そんなヤツの言うことなんか聞かないもんな。だから、なるべく工夫をする。自分と相手との関係性から、どういう伝え方が良いか考える。

 

言葉は慎重に選ぶが、かといって、遠回しに何か言おうとしてる感バレバレの言い方はダメ。相手はかえって馬鹿にされたように思うし、言いたいことあんならはっきり言えよとも思うはず。内容が的外れだった時なんか、遠回しに言われると反論も出来ないから最悪だ。

 

否定も肯定もせず、少し進んだ先の話をしたりする。自論を勝手に喋ってるように見せて、相手に伝わってほしいメッセージをこっそり忍ばせておく。やり方は色々あるけれど、中でもやっぱり、自分を下げる方向にもってくのが、一番伝わりやすい気がする。失敗体験を話すとか、自分のこういう所がダメだと話すとか。嘘丸出しの嫌味な謙遜ではなく、なるべくユーモアのある自虐がいい。

 

何かを伝える時に、保身の感覚が一番ダメだなと思う。自分はちゃんと相手に伝えた、それを相手が守らなかった、だから相手が悪い、という発想が本当にダメだ。いかに正論であろうと、ヒステリックにガミガミ言うだけで伝わるわけがない。暴力で従わせようとするのと変わらない。それでは、正しいと信じることを本気で実現させたいのか、正論を武器にしてる自分が好きなだけなのか、わからない。

 

結果、相手が変わらなかったら意味がない。自分は言ったというアリバイを作って、相手に責任を丸投げして、それで一体何になるというのだろう。どうやっても相手が変わらないこともある、それは仕方ない。しかし、年長者や立場の上の人間がそれをやってしまったら、自分の役割を放棄してるのと同じじゃないか。良くできた人、良く出来た環境でないと何も出来ないんなら、リーダーなんか辞めればいい。そう思う人、今まで何人も見て来たよ。